北海道付属島嶼復帰懇請委員会会長 安藤石典より、連合軍総司令官マッカーサー元帥宛の第2回目の陳情書

北海道付属島嶼復帰懇請委員会会長 安藤石典(根室町長)より連合軍総司令官マッカーサー元帥宛の陳情(抜)

遠く封建時代から、日本の版図であった択捉、国後、色丹の各島およびゴヨウマイ諸島(水晶、志発、勇留、秋勇留、多楽)は現下ソ連軍の占領下にありますので、この占領を解除されるよう、特別の配慮を仰ぎます。

一、一九四五年九月一日ソ連軍が前記諸島を占領して以来、本年八月一日までに、これら諸島から脱出し、根室町に在住するもの五百四戸、二千六百二十八名に達し、全脱出者の約半数を占めています。

一、これら諸島が本来日本の領土であることは歴史が明白に証明し、父子相続して三代ないし六代も漁業その他の業を営み、開拓に苦心しているものが少なくありません。すなわち侵略や交換によって日本領となったものではないのであります。

一、根室町および歯舞諸島と色丹島は、国後島をも含む一環の海域において、漁業を生業とするものが大部分であり、しかも零細な経営形態であります。この点は添付の海図によっても明らかで、一帯の海区は総司令部ウッド中佐の御視察をうけた際にも、詳しく陳情してあります。

一、この海域は濃霧と急潮の悪条件下にありますが、僅かに針路をあやまれば、直ちに領海侵犯なりとして、ソ連より発砲をうけ、或は享捕されております。

一、この海域はカニ、サケ、マス、カレイなどの魚類、コンブなどの海藻が豊富で、戦前、戦時はカン詰を多額に海外に輸出していました。

一、われわれは日本再建のため、ポツダム宣言を忠実に履行し、信義を回復しなければならぬことをわきまえています。またヤルタ会談に関しても、新聞によっ て承知していますが、わが国古来の領土たるこれらの各島は、ゾ連軍が占領する理由がないと考えますので、速やかにソ連軍の占領を解除されるよう、懇願する 次第であります。

一、択捉島は距離が稍遠いため、住民の脱出はありません。消息全く不明であります。色丹島その他の諸島ならびに国後島にも、引き揚げを抑止されいるものが 沢山あります。これらは一日も早く、不当な軍事占領を解除され、またこれらの島の北海道に復帰が実現するよう念願するものであります。

昭和二十一年八月六日

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